海外旅行の予定を立てたものの、滞在する国のインターネットが自由に使えないと不便に感じますよね。海外は日本で通用する常識が通用せず、インターネットも日本とは違う点が多く見受けられます。
地域によっては、動画やSNSへのアクセスが制限されており、日本とのつながりも消滅してしまう可能性も考えられます。少しの間日本から離れるとはいえ、日本の動画やSNSは利用したいですよね。
今回は、VPNが海外でなぜ必要なのかを中心に解説していきます。その他にも「選び方」や「注意点」をまとめているので、併せて参考にしてください。
当サイトは日本人視点で利用しやすいVPNを紹介するサイトです。海外在住時にさまざまなVPNを購入・使用した経験を持つ日本人がVPNに関する情報を発信しているので、ぜひ参考にしてください。
VPNの仕組みとは?
「VPN」とは、「Virtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)」の略です。VPNに接続すると、拠点間の通信に仮想的なトンネルを作成し、プライベートネットワークとして利用できるサービスが「VPN接続」です。
VPN接続の基本となる「トンネリング」は、物理的に離れた拠点間の通信を、仮想的な回線を通して、あたかも同じ通信を利用している状態にする技術を指します。
拠点間で送受信されるデータを安全に保護する「通信の暗号化」、通信の利用者が正規の利用者であるかを判別する「認証」の2つを組み合わせることで、悪質な攻撃者から通信を保護します。
VPN事業者が提供するセキュリティシステムには種類があり、悪質なサイトを警告する「マルウェア保護」やダークウェブ上で利用者のデータが売買された際に警告する「ダークウェブモニター」など、事業者で提供しているセキュリティシステムは異なります。
海外でVPNが必要な理由とは?
あまり知られていないだけで海外旅行や海外出張には、VPNが必須である場合も多く、滞在先からSNSにアクセスできずに混乱する方は非常に多いでしょう。機械に詳しくない方なら、なおさら混乱してしまい楽しい旅行が台無しになってしまうのは避けたいですよね。
ここでは海外でVPNが必要な理由を解説しています。
ジオブロックの解除
VPNは「ジオブロック」を解除する最も有効的な手段として有名です。ジオブロックとは、インターネットサービスにおいて、一定の地域からのアクセスを制限する技術です。国によって通貨や法律が異なるため、国ごとにアクセス制限が設けられています。
ジオブロックの例として、トルコではテロ行為の抑制を目的としたSNSや動画配信サービスへのアクセスが制限されています。
ジオブロックが導入されているサービスは、NetflixやAmazon Prime Video、Hulu、メルカリなど、ほぼ全てのサービスに導入されており、海外からのアクセスに「VPNは必須」と言えるでしょう。
無料Wi-Fiの安全性を確保する
公共施設で提供される無料Wi-Fiは利便性が高い反面、セキュリティの弱点が多く、個人情報の盗取や端末操作の監視など危険が多く含まれています。
場合によっては、ハッカーが用意した偽の無料Wi-Fiスポットに接続してしまい、行動を監視される可能性も考えられます。無料Wi-Fiにおける危険性は、海外のみならず日本でも同じことが言えます。
予約するホテルやモーテルには、必ず無料Wi-Fiが設置されているため、利用する機会があるでしょう。VPNを使用すれば、万が一、偽のWi-Fiスポットに接続した場合でも、端末内のデータは全て暗号化され、ハッカーから情報を盗まれることはありません。
海外に渡航する前に、VPNをダウンロードしておくと、いつでも安全な通信が確保できます。
銀行口座のパスワードを匿名化
海外旅行中でも、銀行残高や利用状況を確認する機会が訪れるでしょう。せっかくの海外旅行、財布のひもが緩んでしまう気持ちはよくわかります。ただし、VPNを接続せずに銀行口座のパスワードやクレジットカード番号、セキュリティ番号を入力してはいけません。
カード情報やパスワードの入力は、通信のログをさかのぼることで第3者から閲覧できます。ログとは、簡単に言えば「足跡」のようなものであり、Wi-Fi機器をハッキングすることで、対象者のログが簡単に見られます。
全ての通信内容・やり取りしたデータが見られてしまい、情報漏えいにつながる危険は大いにあり得るでしょう。
しかし、安全性の高いVPNは「ノーログポリシー」を掲げており、使用者のログを一切保存しません。第3者はログをさかのぼることもできず、結果的に情報漏えいのリスクを最小限に抑えられます。
バンキングサービスの利用をスムーズに
銀行口座のセキュリティシステムとして、第3者による不正なアクセスを検知した場合、自動的に銀行口座を凍結する機能が備わっています。特に、犯罪に利用された形跡がある口座や危険な国からのアクセスがある口座など、なじみのない国からのアクセスは凍結対象となるおそれがあります。
アメリカやアジア、ヨーロッパなどの主要国も例外ではありません。普段、日本で使用するVisaカードやマスターカードを突然なじみのない国で使用した形跡があれば、銀行側が不審に思うのも無理はありません。
VPNを使用すると、海外に滞在しながら日本からアクセスが可能です。なじみのない土地からのアクセスよりも、同じ土地からのアクセスを継続させる方が望ましいでしょう。
動画配信サービスやSNSへアクセス可能に
海外渡航者にVPNが必須である理由として挙げられるのが「動画配信サービスやSNSへのアクセス」です。現在、多くの地域で日本の動画配信サービスやSNSがブロックされており、自由にインターネットを利用できません。
身近な例をあげると、中国では政府によるインターネットの監視や検閲により、各種SNSや動画配信サービスは利用できない状況が続いています。その他にもロシアやトルコ、ベラルーシなどインターネットが自由に使えない国は数多く存在します。
VPNを利用すると、通信の暗号化によるインターネットの監視・検閲の回避、IPアドレス変更による動画配信サービスやSNSの制限解除が可能です。
普段から利用しているアプリやサービスが利用できないのは、ストレスの原因にもなります。楽しい海外旅行を台無しにしないためにも、滞在先の国のインターネット制限について調べる必要があります。
海外で使うVPNの選び方
海外で使うVPNの選び方は至ってシンプルで、多くの方は「安さ」を重視するでしょう。安さがセキュリティ内容に直結することは珍しく、安さで選ぶのも賢い選び方と言えます。しかし、月額料金を安くするためには長期契約を結ぶ必要があり、短期間の海外旅行には適していません。
ここからは利用料金についても触れながら、さまざまな選び方を紹介していきます。
利用料金
初めてのVPN利用は、利用料金を基準に選ぶと失敗しません。利用料金の安さは、誰もが魅力的に感じる要素であり、安さを前提とした選び方をする方も多くいらっしゃいます。
ただし、多くのVPN事業者は、2年プランを選択する場合に限り、月額料金を安く設定しており、短期間で安いVPNは限られるのが現状です。海外旅行で使うとはいえ、長くても2週間以内の滞在に収まるので、たった2週間の旅行に2年プランを契約するのは好ましくありません。
利用料金を中心にVPN選びを進めていく場合、1か月プランに焦点を当てて探す、数か月単位ではなく、日数で契約できるVPN事業者を探すなどの工夫が必要です。
通信速度
通信速度は、端末操作や快適な使用感に直接関係しているため、滞在先の国から快適に使用したい方にオススメの選び方です。通信速度は、利用料金とも深いつながりがあり、サーバーの性能やVPNの接続方式など事業者によって異なります。
セキュリティ重視のVPNは、所持しているサーバーの性能が保証されるため、通信速度を重視するならセキュリティ面に力を入れているVPNを選ぶのも一つの方法です。
また、接続方式に関しても、高いセキュリティと軽い通信を実現した「IKEv2」、暗号化の構造上、速度が出にくいが強固なセキュリティを実現した「L2TP」などを基本とし、「Shadowsocks」や「OpenConnect」が用意されているかも確認しましょう。
滞在国にVPNサーバーが設置されている
滞在先の国に専用のVPNサーバーが設置されているVPN事業者を選ぶことで、より安定した通信速度が実現します。VPNは、各国に設置されたVPNサーバーを経由した上で、通信の暗号化処理やIPアドレスの変更を行います。
例えば、日本からブラジルのVPNサーバーに接続した場合、日本から送信されたデータはブラジルのVPNサーバーを経由するので、当然データの送受信に時間がかかりますよね。日本から韓国のサーバーにつなぐ場合と比較しても、その差は一目瞭然です。
通信速度の低下を最小限に抑えたいのであれば、滞在先の国のVPNサーバーに接続すると良いでしょう。日本のサービスを利用したい方は、サーバー選択で「日本」を選択しましょう。
なお、滞在先の国のVPNサーバーに接続したままでは、日本のサービスは利用できないので使い分けるなど工夫が必要です。
セキュリティ機能
無料Wi-Fiの通信をより安全に使用したい方は、VPNのセキュリティ機能に注目しましょう。VPNに搭載されているセキュリティ機能の例として
数あるセキュリティ機能の中でも、「ノーログポリシーの有無」は情報漏えいリスクに直接関わりがあるので、ノーログポリシーについて言及しているVPNサービスが安心・安全に利用できます。
搭載されているセキュリティ機能は、VPN事業者によって大きく異なるため、利用前に確認する必要があります。
使い勝手の良さ
VPNを利用する上で「使いやすさ」を重視することをおすすめします。どれだけ強固なセキュリティシステムが構築されているといえ、使いにくいサービスは長続きしませんよね。使いやすいVPNの選び方として「専用のアプリ」が配信されているVPN事業者を選びましょう。
現在ほとんどのVPN事業者が専用のアプリをリリースしていますが、中にはGoogle Play Storeのみで配信されている事業者も確認されており、ご自身が所持する端末に適したサービスを選択してください。
その他にも、お支払いから利用までの工程が短いサービス内容や簡単な操作でVPNを利用できるVPNなど、初心者にも使いやすい設計になっているVPNもおすすめです。
海外でVPNを使用する際の注意点
海外でVPNを使用するのが「当たり前」になっていますが、VPNの使用には重大な問題につながる可能性があるのをご存じでしょうか。
VPNの使用自体は、日本を含むアジアや欧米で合法的に使用可能です。しかし、中にはVPNの使用自体を違法として取り締まっている国も存在します。知らないままVPNを使用して、警察に取り調べを受けることになれば楽しい海外旅行も台無しですよね。
そんな「VPN使用に関する注意点」を解説していきます。
VPN使用が合法であること
滞在先の国でVPNの使用が合法であるかを事前に下調べする必要があります。国によっては、VPNの使用が違法な国やインターネットのアクティビティが監視されている国もあるため、注意が必要です。
VPNの利用を禁止している代表的な例として「中国」が挙げられます。中国のインターネットには「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる大規模な情報検閲システムが導入されています。そのため、中国のインターネットを利用して端末を操作すると、アクティビティが監視されている状態です。
グレート・ファイアウォールを突破するための手段として「VPN」が日常的に使用されていますが、中国政府は検閲・監視の対象から外れるため、VPNの使用を禁止しています。しかし、中国でVPNを使用して外国人が逮捕された事例はなく、グレーゾーンとして利用できます。
海外旅行の前に、必ず滞在先の国でVPNが合法的に利用できるのかを調べる必要があります。
無料VPNは避ける
VPNを安全に使用したいなら無料VPNの使用はおすすめできません。現在、リリースされている無料VPNのほとんどが、詳細不明の企業が運営しており、保存されたデータの扱いについて言及していません。収集された個人情報を売買している可能性もあり、無料VPNの危険性は知られていないだけで非常に高いのが現状です。
有名な「VPNネコ」も、運営元の企業が数回にわたって変更されており、最終的には中国とのつながりも確認されています。
インターネットが制限されている国や政府による監視が行われている国では無料VPNが使えないこともあり、不安定さが目立ちます。できる限り、無料VPNの利用は避け、運営元が明記されているVPN事業者を選びましょう。
まとめ:海外でVPNは必須
なぜ海外でVPNが必要と言われているのかがわかりました。主な理由として
VPNの中にも「日本企業が運営するVPN」と「海外企業が運営するVPN」があり、使用感にも差が生まれています。特に、日本製のVPNは、日本人向けに開発されており、LINEやInstagram、Hulu、U-NEXTなど日本人が頻繁に利用するサービスに適しています。
反対に、海外製のVPNは海外のセキュリティリスクに対応しており、セキュリティレベルも世界基準です。セキュリティの高さを重視する方には、海外製のVPNを視野に入れてもいいですね。
当サイトでは、海外で利用が確認されているVPNをまとめた記事も執筆しています。メリットや注意点の他に、VPNを違法としている国をまとめているので、詳しくは「海外で使えるVPN6選」をご覧ください。