近年、VPNのスマホアプリにもさまざまな種類のVPNが生まれており、無料のVPNアプリのほとんどが運営元が明かされていない悪質なアプリという事実をご存じでしょうか。
スマホアプリはApp StoreやGoogle Play Storeから簡単にインストールすることが可能です。簡単にインストールできてしまう利便性を悪用するハッカーが増えており、VPNアプリのインストールにも慎重にならなければいけません。
今回はVPNのスマホアプリを配信しているVPN事業者を紹介するとともに、危険性や無料VPNと有料VPNの違いを併せて解説しています。中国での利用にも触れていますので、VPN選びの参考にしてください。
当サイトは日本人の視点から安全なVPNサービスを紹介するサイトです。海外に在住した経験がある私が、使いやすさと安さを兼ね備えたVPNを厳選しています。
VPNとは?
VPNは「Virtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)」の略です。日本語訳は「仮想専用通信網」と呼ばれ、VPNに接続することで、インターネット上に仮想的なトンネルを形成し、第3者から認識できない安全な通信が可能です。
VPNは、拠点間の通信を安全にするために利用され、自宅から会社の内部情報や学校のデータベースにアクセスする際に用いられます。
拠点間の通信時に、正規の利用者であることを確認する「認証」や通信されるデータやパケットを暗号化する「通信の暗号化」により、安全性を高めています。
これらの技術を利用し、拠点間に仮想的な通信網を設置し、安全な通信を提供するサービスが「VPN接続」と呼ばれます。
VPNのアプリを使うメリット
VPNの利用には、専用のアプリをダウンロードする方法が主流です。iPhoneやAndroidからのアクセスが増え、VPN事業者もアプリの開発と機能の充実を進めています。
VPNアプリを利用するメリットは、アプリ特有の「利便性の高さ」にあります。アプリは、一度インストールが完了すると、次回から簡単に利用を開始できるため、携帯からの利用に適しています。
その他、WindowsやmacOSなどの端末からもアプリのダウンロードが推奨されるため、VPNの利用にはアプリのダウンロードが必須です。
ここからはVPNのアプリを利用するメリットを詳しく解説します。
利便性の高さ
VPNアプリを利用する最大のメリットは「利便性の高さ」です。
アプリにはサービスに特化させた機能が搭載されており、高度な機能を手軽に利用できます。また、新着情報やアップデートを自動的に通知してくれる「プッシュ通知」はアプリならではの機能です。PayPayや楽天Payなどのキャッシュレス決済もアプリ特有の機能であり、ウェブブラウザ上では利用できません。
VPNアプリは、携帯端末との相性が非常に良く、VPNを導入する際は、専用のアプリがあるかを確認しましょう。海外に滞在する場合でも、携帯端末は必ず所持するため、アプリ版を利用できるVPNサービスは重宝されます。
一度インストールすれば簡単に利用できる
アプリの特性上、一度携帯端末にインストールすることで、アプリの起動からVPNの使用までを簡単に行うことが可能です。
例えば、ウェブ上のコンテンツにアクセスする場合、URLの添付、もしくはGoogleやYahooなどの検索エンジンで検索にかける必要があります。その点アプリが配信されているサービスは、特定のアプリをタップし、起動するだけで利用を開始できます。
YouTubeの利用でも、まずsafariから「YouTube」と検索した後、YouTubeのサイトにアクセスする動作が必要です。その動作を何回も繰り返すのは決して便利とは言えません。しかし、YouTubeのアプリをインストールすることで、起動が簡単になることに加え、ログイン情報の保存やおすすめ動画の表示などの便利機能が搭載されています。これらはアプリならではの機能です。
一度のインストールで、サービスを簡単に利用できる点は、アプリ版の強みと言えるでしょう。
無料Wi-Fiを安全に使用できる
公共の施設やカフェ、飲食店で幅広く利用される無料Wi-Fiは、個人情報の漏えいやハッキングの温床になっています。非常に便利なサービスですが、個人情報が漏えいするきっかけは、無料Wi-Fiの利用時に多いことが報告されています。
ハッキングは、Wi-Fi機器へ攻撃を仕掛け、通信されたデータのログを追跡します。ログとは、足跡のようなイメージです。パスワードや個人情報のデータは、ログを追跡することで簡単にわかってしまいます。
しかし、VPNを使用することで、IPアドレスの秘匿や通信の暗号化を用いて通信を保護し、安全に無料Wi-Fiを利用できます。
VPNサービスの中でも「ノーログポリシー」を提示するVPN事業者は、ログを残さないため、情報漏えいのリスクを最小限に抑えることが可能です。
無料Wi-Fiは、利便性こそ高いものの、セキュリティ面に乏しい場合が多く、安全とは言えないのが現状です。無料Wi-Fiの通信を覗き見る程度は、誰でも可能ということもあり、自身で対策をすることが重要です。
地域制限(ジオブロック)の回避
海外旅行や海外出張の際、滞在する国の「インターネット制限」について下調べする必要があります。地域的なインターネット制限は「ジオブロック」と呼ばれ、インターネットコンテンツへのアクセスを居住地によって制限する技術です。オンラインカジノやギャンブルなどは国によって法律が異なるため、国ごとにジオブロックを導入しています。
例として、中国では日本を含む海外のコンテンツやサービス、SNSへのアクセスを規制しています。中国政府が設置している「グレートファイアウォール」により、インターネットの検閲が行われ、中国でのインターネット利用の動向が監視される状態です。VPNは、地域制限を回避することが可能であり、加えて、通信の暗号化による検閲や監視の回避も可能です。
以上のことから中国では、SNSの利用や動画視聴サービスの利用にはVPNが必須とされています。
その他にもロシアや北朝鮮、トルクメニスタン、イラン、イラクなどが地域制限(ジオブロック)を導入している国の例として挙げられます。
VPNアプリの選び方
VPNの選び方は、人によって異なりますが、動画視聴やテレワークに利用する目的がほとんどです。最初に浮かびやすい「価格」を基準とした選び方もおすすめですが、価格だけで選んではいけません。
VPN事業者が提供するサービス内容はそれぞれ異なり、「動画視聴に特化させたサービス」から「セキュリティを重視したサービス」まで存在します。また、対応するサービスやコンテンツの内容が異なるので、価格だけで選ぶのは愚策と言えるでしょう。
ここからはVPNアプリの選び方について解説していきます。
接続サーバー数
VPNを利用する場合、各事業者が提供するVPNサーバーに接続し、通信を暗号化します。VPNの接続サーバー数は、通信の遅延に直結するため、できる限り多くのサーバー数を設定しているVPNサービスを選ぶと良いでしょう。
特に、利用者が多いVPNサービスは、時間帯によって通信環境が左右されやすく、これらはサーバーの負荷と直接的な関係があります。サーバー数が少ないVPNは、時間帯によってつながりにくい状態が続いたり、そもそも利用できない可能性も考えられます。
また、滞在する国にサーバーが設置されているかを確認しましょう。滞在する国から遠いサーバーしか選択できない場合、通信の遅延や接続不良につながる可能性があります。
VPNに接続すると、通信速度が低下は免れないため、さらに通信速度が悪化する結果を招きます。サーバー数と設置国は事前に確認するべきです。
安全性
VPNにおける安全性とは、運営する企業や人物が明確になっているかが基準です。
サイバー攻撃による個人情報を抜き取る手口として、無料Wi-Fiに偽装した偽Wi-Fiを公共に流すハッカーが存在します。偽のWi-Fiに接続された端末は、内部データにアクセスされ、情報漏えいにつながってしまいます。それだけ運営元が明らかになっていることは重要です。
iPhoneユーザーであれば、誰もが利用したことのある「App Store」でも、Apple側に必要な情報を提供しておらず、詳細が不明なまま配信されているVPNもあります。そのようなVPNサービスは、個人情報を売買し、収益を得ている可能性が高く、安全性は皆無と言っていいでしょう。
その他にも、「セキュリティ機能の詳細」や「独立機関の監査を突破しているか」なども併せて確認することが重要です。
ノーログポリシーの有無
「ノーログポリシー」は、VPNを提供するプロバイダが、IPアドレスや検索履歴などのログを保存しない一種の契約です。ログは足跡とも呼ばれ、攻撃者がログを追跡しないためにもノーログポリシーは必要不可欠なセキュリティ機能です。
ログを取らない限り、情報の漏えいリスクを最小限に抑えることができます。プライバシーの保護の観点からも、ノーログポリシーを導入するVPN事業者を選ぶと良いでしょう。
無料VPNには、ノーログポリシーを提示していない事業者も多いため、注意が必要です。
VPNアプリの危険性
VPNアプリに限らず、VPN全体を通して気をつけるべきは「VPNの脆弱性(ぜいじゃくせい)」です。脆弱性は、セキュリティの弱点や欠陥を指す言葉で、サイバー攻撃のほとんどはVPNの脆弱性を利用した攻撃に該当します。
2019年には、コロナウイルスが流行、テレワークの急速な導入により、VPN機器の脆弱性を利用したサイバー攻撃が急増しました。急速に導入を進めたため、古いVPN機器を導入したことで、脆弱性がアップデートされていない状態のままVPNを利用してしまったことが原因とされています。
また、VPNのもう一つの危険性として「マルウェア」が挙げられます。マルウェアは、スパイウェアやトロイの木馬、ランサムウェアなどの悪意のあるサイトの総称です。VPNのセキュリティ機能が不十分な場合、マルウェアの被害を受ける可能性も考えられます。VPNのプロバイダ側が「マルウェア保護」を導入していることを確認し、セキュリティ対策は万全にしておく必要があります。
VPNアプリをインストールする場合は、アイコンが酷似した偽のアプリに注意しましょう。公式サイトのリンクからアクセスするなどの工夫が必要です。
無料VPNと有料VPNの違い
無料VPNの最大のメリットは「利用料金がかからない」ことです。メールアドレスの登録や口座情報の入力などは一切なく、すぐに利用を開始できます。
一時的な利用やセキュリティ強化であれば、無料VPNの使用はおすすめです。しかし、最低限のセキュリティ性能であることを理解する必要があります。サイバー攻撃を防ぐことは難しいため、無料VPNは一時的な使用に留めておきましょう。
対して有料VPNは、利用者から料金を徴収する代わりに、セキュリティの強化と安定した通信速度を提供しています。自動キルスイッチ機能やノーログポリシー、マルウェア保護などセキュリティ面の強化はもちろん、無制限の通信量や安定した通信速度で、安全かつ快適な通信を行うことが可能です。
また、有料VPNにはカスタマーサポートを受けることができるため、万が一トラブルや不具合が発生しても対応してくれます。テレワークが中心の方や自宅から社内の情報に頻繁にアクセスする方は有料VPNがおすすめです。
無料VPNにも、有料VPNと変わらない性能を提供するプロバイダもありますが、容量の制限や通信の不安定さから利用しにくいといった声も多いのが現状です。動画視聴は通信量も多いため、動画視聴を目的としたVPN導入であれば、通信量無制限の有料VPNを選びましょう。
アプリ版でも動画視聴は可能?
U-NEXTやHulu、AmazonPrimeなどの動画視聴サービスは、VPNのアプリ版でも視聴が可能です。現在、多くのVPN事業者がアプリを導入しており、アプリでの利用が主流になっています。
携帯端末やWindowsなど、端末によってダウンロードの方法が異なるため、公式サイトから「ダウンロード方法」を調べておきましょう。また、対応する動画視聴サービスはVPNによって大きく異なるため、事前に調べる必要があります。
ほとんどのユーザーが、iPhoneやAndroid端末で動画視聴するため、VPNアプリの開発も進んでいます。アプリ版VPNで動画視聴ができないことはほとんどないと言えます。
【アプリ版】おすすめVPN7選
App StoreやGoogle Play Storeで配信されている無料VPNのほとんどが中国と関わりがあることをご存じでしょうか。無料VPNには、運営元が明かされていない場合が多く、データのやり取りに関する情報やデータ管理について言及されていません。
VPN経由で流出した個人情報は、ダークウェブで取引されており、一度流出した情報を取り返すのは不可能と言えます。有名なTurboVPNもプライバシーポリシーには中華人民共和国と記載された形跡があり、中国との関わりがあることが明らかになっています。
また、無料VPNのほとんどが中国で利用できないため、中国での利用は有料VPNに限られていることも知っておきましょう。
紹介するVPNはアプリのリリースがあり、安全が保証されたVPNを厳選しているので、併せて参考にしてください。
TunnelBear
https://www.tunnelbear.com
「TunnelBear」はカナダの「TunnelBear」が運営するVPNサービスです。通信量に500MBの制限がありますが、有料版と変わらない性能が魅力のVPNです。
ノーログポリシーや自動キルスイッチを実装しており、セキュリティの高さにも定評があります。無料版でも十分すぎる性能を持っており、セキュリティの高いVPNを探している方におすすめです。
短時間のSNS利用やネットサーフィンには最適ですが、500MBの制限があるため、動画視聴には不向きです。
hide.me VPN
https://hide.me/ja/network/usa-vpn
「hide.me」は、マレーシアのIT企業「eVenture Ltd」が運営する無料VPNサービスです。1か月の通信容量が10GBに設定されており、通信容量の多さが特徴です。
日本にはサーバーがなく、通信状態がやや不安定のため、長時間の利用はおすすめできません。また、日本のIPアドレスが利用できないこともあり、海外から日本のサービスへのアクセスはできません。
しかし、ノーログポリシーを提示しており、セキュリティ面に関しては非常に優秀なVPNと言えます。短時間の動画視聴やネットサーフィンであれば、快適に利用できます。
ProtonVPN
https://protonvpn.com
カナダのカルガリーのクリーンエネルギー関連企業「Proton Technologies」が提供する無料VPNサービスです。通信容量制限がなく、手軽に利用できる点が魅力です。
有料のVPNと比較されることが多いですが、無料版でも十分すぎる性能を持っており、快適に利用できます。しかし、無料版では日本・アメリカ・オランダしか選択できないため、注意が必要です。
日本語での対応はできませんが、運営元がしっかり明記されており、信頼できるVPN事業者と言えます。
ExpressVPN
https://www.expressvpn.com/jp
ExpressVPNは、イギリス領ヴァージン諸島の企業「Express VPN International Ltd.」が運営するVPNサービスです。全世界94か国に設置されたサーバーにより、どの国に滞在しても快適な通信ができます。ただし、中国での利用は、非常に不安定で利用は難しいでしょう。
WindowsやmacOS、iOS、Androidに対応しており、世間一般的に認知されているソフトウェアはおおむね導入が可能です。
ノーログポリシーをはじめ、通信の暗号化や認証など、多くのセキュリティ機能が搭載されており、長時間の利用にも適しています。
対応する国の数が多いVPNを探している方や通信速度の安定したVPNを探している方におすすめです。
VPN surfshark
https://surfshark.com/ja
Surfsharkは、オランダの企業「Surfshark B.V.」が運営するVPNサービスです。VPNサービスの中では、比較的歴史が浅い事業者ですが、近年のVPN規制や世界情勢に柔軟に対応しています。中国での利用もできますが、通信が不安定な時期があり、安定性に欠けるため注意が必要です。
Surfsharkは、セキュリティを向上させる「自動キルスイッチ機能」や「ノーログポリシー」を標準搭載しており、情報漏えいの危険を最小限に抑えます。また、「Nobordersモード」と「カモフラージュモード」を採用することで、地域的なインターネット検閲が厳しい国での安定した通信速度の維持と検閲の回避を徹底しています。
短期間の利用は料金が高く、長期間の利用を前提とした利用がおすすめです。
NordVPN
https://nordvpn.com/ja/
NordVPNは「NordSecurity」が提供するVPNサービスです。「マルウェア保護」や「ダークウェブモニター」「キルスイッチ機能」などが標準搭載されており、セキュリティの頑丈さに定評があります。ただし、中国での接続は非常に不安定で、おすすめできません。
世界61か国、6000台以上のサーバー数により、安定した通信速度を実現させています。滞在国に最も近いサーバーを選択することで、常に安定したVPN接続が可能です。
短期間の利用は料金が高いため、長期間の契約を一度に結んでしまうのが良いでしょう。ノーログポリシーを掲げており、初めてVPNを導入する方やセキュリティを重視した使い方をする方におすすめです。
CyberGhost
https://www.cyberghostvpn.com/ja_JP/
CyberGhostは、ルーマニアの企業「CyberGhost S.R.L.」が提供するVPNサービスです。海外の企業でありながらも、日本人からのカスタマーサポートの評価が良く、信頼性の高い事業者です。しかし、中国での利用はできません。
サーバー数は世界100か国、11528台と、設置国・サーバー数ともに、トップクラスの数を誇ります。比較的、どの国からの通信も安定しており、通信の安定さと速度は群を抜いています。ノーログポリシーや業界最先端のAES 256ビット暗号化によるセキュリティ対策も充実しています。
CyberGhostは、業界でも最長の45日間の返金保証期間を設けており、万が一、サービスに満足できなかった場合、返金対応を受けることが可能です。
2年間契約時の価格が、320円と破格の価格であり、一度に長期契約を結ぶと良いでしょう。短期間の価格が高いため、短期間の利用はおすすめできません。
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